GRPの実証試験報告書
昨年7月より日本道路公団名古屋管理局のご協力を得まして、オイル添加剤により5万キロエンジンオイル無交換走行を行って参りましたが、車両に全く損傷を与える事なく良好な実証結果を得ましたのでその内容のご紹介であります。
エンジンオイルなどの交換サイクルを大幅に延長することにより廃油となるオイルを極力少なくすること及びオイル交換のサイクルタイム少なくし経費縮減を図ることを可能にした高性能のエンジン添加オイル「GRP」という商品のご紹介でございます。
「GRP」の採用を道路公団各事業所におかれましてもご検討いただきご採用賜れば車両機器類の磨耗損傷の防止や機器寿命を伸ばすことになり、廃棄物の削減による環境対策やコスト削減の観点から、必ずや成果が上がるものと確信いたしております。
なお、簡単に短時間でご理解いただける性能機器テストがございますので是非とも説明の機会を賜りたく存じます。何卒ご一報のほどおまちしております。
以下は、同管理局名古屋事務所における「GRP」実証テストをまとめ報告いたしたものですがご参考にご覧いただきたく存じます。
(1)オイル添加剤「GRP」の紹介
@ GRPは、通常のオイルに添加することによってオイルの性状とは無関係に優れた潤滑皮膜(共晶膜と称す)を瞬時に形成するものです。金属面の摺動部分に金属磨耗粉などと化学的結合し安定した皮膜として固着形成するカナダで研究開発されたオイル添加剤です。
A GRPの固着皮膜(共晶膜)は、従来のオイルの流体皮膜とは異なり、オイルの劣化による影響を受けません。依って、オイル自身の劣化が進行しようとも機器の損傷は進行しないという固有の特質を持ちます。
B 共晶膜の秀でた潤滑性に加え、GRP固有の相乗効果がオイルの劣化をも緩和 する作用を生み出します。
C GRPは、国内外の航空・宇宙・軍関係および産業界に採用されています。 海外ではNATO(国連軍)の認定使用をはじめ、各界でその性能と実績はすで に高く評価されています。日本には、すでに10年ほど前に紹介され、産業界において、日本セメント、新日鉄など大型重量旋回機械の軸受け、JR北海道での動輪の軸受け用等にと比較的特殊専門的な分野で評価され使用されて参りました。 また、エンジンオイルの使用に関しては、カーレーシングチームでの採用や貨物トラック・タクシーなど運輸業界においても採用され始め、運送業のヤマヨシ物流では、東京神戸間の定期便大型トラックにおいて脅威の36万キロエンジンオイル無交換 記録(平成10年)を達成しています。
(2)公団の実証走行テストに至った経緯
@ 飯田チ゛ーゼル(株)は、長野県飯田市が、通産省のエコタウン指定都と
なったことを契機に「環境事業研究会」を発足、「交通機関の排気ガス、廃
オイル、燃費の削減対策から環境を考える」をテーマに活動を始める。
A 廃オイルを大幅に削減でき、コスト的にも環境的にも効果が有り、エンジ
ン性能をも高めるというオイル添加剤「GRP」に着目する。
B 「GRP」の性能を客観的に立証し、その効果を検証できる走行データを
取る必要性に迫まれた。
C 従来から正確な走行データを豊富に持ち且つ走行頻度の高い日本道路公団
関係の車両に着目、飯田ヂーゼル鰍フ取引先であるJH飯田管理事務所に相談
し、同事務所を通じ日本道路公団名古屋管理局よりJH名古屋管理事務所の紹介を受ける。
D JH名古屋管理事務所のご協力を得、2台の作業車両にて平成10年7月
より、実証走行テストにはいる。
E 「GRP」総輸入代理店 ジー・アール・ピー株式会社、および国内総販
売元岩谷産業株式会社に、オイルの成分分析、販売データー資料等の提供協
力を仰ぐ。
F 6ヶ月間、1万キロ走行毎にオイルの成分分析を行い5万キロのデータを蓄
積した。 試験走行車両に不具合や問題がないことが確認され、実証試験を
完了した。
G その後、大型特殊車両、発動機、発電機に等のオイルに添加、搭載車両
を増やし、オイルデータを分析しているが、平成11年9月現在、走行車
両にオイル無交換による不具合の発生は認められず、名古屋管理局内のセク
ション各管理事務所毎に内容の説明会を開催し、現在継続中。
GRP販売店
長野県飯田市松尾明7664−1
飯田ヂーゼル株式会社
国内総販売元
東京都港区西新橋3−21−8
岩谷産業株式会社
日本総輸入代理店
東京都品川区西五反田5丁目4番5号‐205号
ジー・アール・ピー株式会社
GRP使用にて5万キロオイル無交換走行テストの
結果に関する報告および考察
1.本テストの目的
環境問題が我国のみならず世界的に重要な命題となりつつある昨今、廃油量の削減
政策はその環境問題の改善に寄与するに留まらず、省資源化へも道を開く重要な役
割を果たす。廃油量の削減方法は多々あるが、極く一般的な『交油期間の延長』に
ついて、その可能性を技術的に検証し且つ、実証することを本テストの目的とした。
2.本テストの結果
通常のオイルでは、走行または期間によって劣化する。そのため、交油することな
く走行できる限界は、1年もしくは1万5千km程度といわれる。しかしながら、
一般にエンジン機器に摩耗損傷を大きく進行させずに車両のエンジン寿命を保つた
めに走行できる距離の限界を4千〜5千キロ程度として交油を推奨している。
しかし、GRPがそれらのオイルに5%程度添加されることによって交油すること
なく4万〜5万km程度走行してもオイルの基本性状である潤滑性には全く問題がな
くむしろ新油と比較して4倍から5倍程度の潤滑性能を維持している。
このことから、エンジン機器に与える磨耗損傷は無添加のオイルの場合に比較し
て桁違いに少ないことが実証された。(表−1)
従って、現状の交油サイクルである4千ないし5千キロと比較してもオイル性状に
全く支障はなく、弊害や問題を伴う事なく現状の交油による廃油量を10分の一以
下に押さえることが可能となった。
3.テスト概要および推移
名古屋2号および6号の車輌をテストに使用。GRPをエンジンオイルに5%相当
量添加のうえ当該車輌を通常業務に供し、オイル性状変化(劣化推移)とエンジン
機器の磨耗損傷の状況を定期的にオイル分析することによって調査しGRPの効
能を検証した。
尚、本テスト期間中に消耗したオイルの補充オイルにはGRPは添加せず。
両車輌ともGRPを添加後それぞれ、1万km、2万km、3万km、4万km走行時点で
エンジンオイルを抽出分析。
6号車は更に1万kmテストを継続し、5万kmまでのデータを取った。
また、比較用にGRPが使用されていない3号車の通常の3千km走行でのオイル
交換時の廃油も併せて計測した。
本分析作業は分析専門会社「ジャパンアナリスト梶vでSOAP法によって行われた。
5.考 察
1.分析データの要点
@オイルの分析テストは次の4点について行われた。
・含有されるエンジン機器の金属磨耗粉量の測定
・動粘度の計測
・全酸価の測定
・ティムケン試験器による潤滑性能テスト
A優れた潤滑効果を有するオイルは、これらのチェック項目で含有金属磨
耗粉量が走行距離の割に少なく、ティムケン試験器による潤滑性能テス
トの結果が優れている。
Bオイルは「粘度」や「酸価」の劣化は、即、潤滑性能の劣化を意味し、そ
れはエンジン機器の磨耗損傷の進行や、深刻なエンジントラブルの発生
原因となる。
一方、GRP添加済みのオイルの場合、ベースオイルは、添加剤のキャリ
アーとしての働きができているか否かの問題で機器の潤滑部そのものの状
態が重視され、オイルの酸化度や粘度とは無関係に常時優れた潤滑効果を維
持、発揮する。
2.分析データ
1)含有金属摩耗粉量(masa ppm)
@新油 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
Fe |
Pb |
Cu |
Cr |
Al |
Ni |
Ag |
Sn |
Si |
B |
Na |
P |
Zn |
Ca |
Ba |
Mg |
Mo |
0km |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
5 |
201 |
1 |
780 |
904 |
1560 |
0 |
4 |
41 |
A名古屋3号車 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3千km |
8 |
5 |
3 |
1 |
6 |
1 |
0 |
7 |
14 |
16 |
0 |
804 |
952 |
2266 |
1 |
305 |
105 |
B名古屋2号車 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1万km |
5 |
2 |
3 |
1 |
3 |
0 |
0 |
0 |
8 |
0 |
0 |
880 |
1003 |
2562 |
1 |
342 |
116 |
2万km |
13 |
4 |
8 |
1 |
8 |
0 |
0 |
3 |
3 |
0 |
0 |
836 |
985 |
2556 |
1 |
334 |
111 |
3万km |
17 |
4 |
19 |
1 |
10 |
1 |
0 |
6 |
19 |
23 |
4 |
824 |
998 |
2534 |
1 |
332 |
115 |
4万km |
22 |
5 |
11 |
2 |
12 |
1 |
0 |
6 |
22 |
0 |
0 |
810 |
1026 |
2517 |
1 |
292 |
104 |
5万km |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
C名古屋6号車 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1万km |
5 |
1 |
3 |
1 |
2 |
0 |
0 |
0 |
11 |
29 |
0 |
887 |
1010 |
2491 |
1 |
305 |
106 |
2万km |
10 |
3 |
6 |
1 |
6 |
0 |
0 |
6 |
17 |
27 |
0 |
839 |
987 |
2497 |
1 |
302 |
102 |
3万km |
14 |
3 |
8 |
1 |
7 |
1 |
0 |
4 |
19 |
38 |
3 |
816 |
978 |
2369 |
1 |
266 |
98 |
4万km |
19 |
4 |
10 |
1 |
10 |
0 |
0 |
5 |
22 |
13 |
0 |
808 |
1008 |
2440 |
1 |
268 |
97 |
5万km |
28 |
6 |
13 |
2 |
12 |
1 |
0 |
5 |
32 |
36 |
3 |
855 |
1042 |
2507 |
1 |
273 |
99 |
2)動粘度(cst/40℃)
|
@新油 |
A名古屋3号車 |
B名古屋2号車 |
C名古屋6号車 |
0/3千km |
62.65 |
68.38 |
− |
− |
1万km |
− |
− |
87.51 |
76.81 |
2万km |
− |
− |
121.1 |
102.1 |
3万km |
− |
− |
124.5 |
104.9 |
4万km |
− |
− |
146.1 |
120.1 |
5万km |
− |
− |
− |
178.2 |
3)全酸価
0/3千km |
2.16 |
4.42 |
− |
− |
1万km |
− |
− |
3.79 |
3.36 |
2万km |
− |
− |
4.48 |
5.10 |
3万km |
− |
− |
5.96 |
5.44 |
4万km |
− |
− |
5.94 |
5.00 |
5万km |
− |
− |
− |
7.13 |
4)ティムケン潤滑性能(kg/mm2)
0/3千km |
1.83 |
1.24 |
− |
− |
1万km |
− |
− |
4.15 |
4.35 |
2万km |
− |
− |
4.80 |
5.20 |
3万km |
− |
− |
4.50 |
4.90 |
4万km |
− |
− |
4.65 |
5.10 |
5万km |
− |
− |
− |
5.05 |
分析データ、分析方法、及びデータが示す意味
分析データ |
分析方法 |
分析データの示す意味 |
@含有金属摩耗粉量 |
SOAP法 |
性状分析データ中の主にFe、Pb、Cuの数値が |
|
|
エンジン機器の摩耗損傷に大きく関わる。 |
A動粘度 |
SOAP法 |
オイルの劣化に伴いその値は上昇し、オイルの流動性、 |
|
|
冷却性が低下、潤滑作用に問題を発生させる。 |
B全酸化値 |
SOAP法 |
オイルの劣化に伴いその値は上昇し、オイルの流動性、 |
|
|
冷却性が低下、潤滑作用に問題を発生させる。 |
C潤滑性能 |
ティムケン法 |
JIS規格に定められた潤滑油の性能を客観的に計る |
|
|
試験法であり、その値が高い程、耐荷重性能に優れて |
|
|
いる事を示す。 |
2.データに対する見解
@概論
GRPは多々あるオイル添加剤の類のものではない。
従来のオイルの潤滑性は、「オイルその物の膜(油膜)のみが金属面相互の
接触を防ぐ」ため「粘度(粘性)」についての必要性が問われ粘度が低ければ
オイルフィルムは簡単に流れてしまい、同時に高すぎると逆にオイル切れ現象
を起こしてしまう「流体潤滑」で取り扱われてきた。
GRPは、オイルの計数関係がどうあれ、機器の損傷、磨耗等の実際面の
状態を重視し、オイルとは只単に「適切な添加剤」のキャリアーとしての
働きができるかどうかを見極めるということだけを重視する。
つまり、GRPは、流体潤滑領域では「流体状」であるが境界潤滑(高負荷)
になると「固体潤滑」に変化する。
そして、この固体潤滑剤は超微紛末である金属磨耗紛と共融し、更にGRP
に含まれている有機物質と作用しあって安定的な新しい潤滑フィルム物質
(共晶膜)を形成する。 GRPによる固体潤滑フイルム現象は、摩擦物体間
の接点直下においてのみ発生するもので磨耗超微粉とGRPの化学変化によ
って形成される。この固体潤滑フィルムは、超過重に耐え、溶解温度が
150度C〜750度Cという高いレンジを有する。
このことから、使用中のオイル自体の計数値が酸化劣化してもGRPの共晶
膜はその影響を受けずに秀でた潤滑性能を維持し続ける。
従って、オイルの酸価値の大小は、GRPが添加されているオイルの場合に
は重要な意味を持たないのであるが、GRPはオイルの酸化劣化の傾向をも
緩和する作用を有するものである。
これらのことは本計測データでも実証されている。
本テスト期間中補充オイルにはGRPが添加されなかったことを考慮すれば
GRPの総合効果がいかに優れたものであるかデータが如実に語っている。
A全酸価について
GRPの添加されていないオイルは通常では全酸価が新油時の倍を超えるレ
ベルではオイルの劣化物質としてのスラッジの増大などが顕著に見られるよ
うになり、潤滑剤としての機能そのものが失われてしまう。
交油せねば機器の磨耗損傷の進行が不可避となる。
計測データをグラフ化した9ページのグラフに見るようにGRPが添加され
た2号車および6号車のオイルの酸化傾向は明らかにGRPが使われていな
い3号車に比べて劣化傾向が抑制されているのがわかる。
また、GRPが添加されたオイルの酸価値が高くなっているにもかかわらず
潤滑性は、その影響を全く受ける事なく、新油に比べても格段の潤滑数値を
維持し続けている。
B動粘度について
エンジンオイルは劣化すると粘度が上がる。 粘度が上がると流動性および
冷却性が下がり、潤滑作用に問題を発生させる。 それらの観点から通常エ
ンジンオイルでは100〜140cst程度の粘性が継続使用可能の上限値である。
一方、GRPの添加されているオイルはスラッジの発生が抑制され、粘性上
昇によるフィルターブロックなどの問題が起こらないばかりか、金属摺動面
に固着膜として形成されている共晶膜が優れた潤滑を維持し続けるので潤滑
作用そのものの低下は生じない。
従って、灰じん、砂じん、紛じんなどの異物混入等によるフィルターブロック
がなければGRP添加のオイルにおいては動粘度が180cstを超える粘性であ
っても問題はない。
C金属磨耗粉量について
潤滑性能と含有金属磨耗粉の状況は密接な関係を有する。
潤滑状況が悪いと磨耗粉量が多く且つ、磨耗粒子が十数ミクロンから数十ミ
クロンと大きい。 潤滑状況がよい場合には磨耗粒子が数ミクロン以下で
且つ、数量が少ない。
欧米諸国での計測データでもGRP添加オイルの場合、磨耗粒子が数ミクロ
ンからサブミクロンと超微粒子であり、且つ磨耗粉量が非常に少ないことが
確認されている。
本分析では磨耗粒子のサイズの分析は行わなかったが、GRP添加のオイル
の磨耗粉総量は、9ページのグラフに見るように走行距離との比でGRPを
使用していないオイルに比べて金属摩耗も抑制され格段の差が認められる。
以上のように、GRP添加オイルの場合にはオイルの酸化劣化傾向、粘度上昇傾向
の条件下にあっても、優れた潤滑性能を維持し続けることがエンジン機器の磨耗
損傷を抑制しオイル交換のロングランを可能ならしめている。